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北国街道小諸宿を歩く その1 (H23.9.8)


大手門



小諸観光交流館(観光案内所)

小諸市は雄大な浅間山の南斜面に広がり、中央部に千曲川が流れる自然豊かで歴史と文化の香る高原都市です。

江戸から21番目の「小諸宿」が設けられて以来、小諸は北国街道の宿場町として参勤交代や善光寺詣での要衝として栄えました。

旧街道沿いの本町、荒町、与良町界隈には現在でも宿場町の面影が残り、酒屋、味噌屋、そば屋が江戸時代からの建物で営業を続けています。

また、明治、大正の商家の特色を残す建物も残っており、江戸、明治、大正と時代を経た建物を楽しむことができます。


小諸駅の改札口を出て左に進み、隣接する公園「こもろ停車場ガーデン」を通り抜けたところに「小諸観光交流館」があります。

「小諸観光交流館」には小諸市観光協会事務局、小諸観光案内所、小諸観光ガイド協会などがあり、小諸市の観光情報を収集するにはもってこいの場所です。

「小諸観光交流館」は明治時代後期から大正にかけて造られた繭問屋さんの建物を改装したものです。


大手門



大手門

小諸観光案内所でいただいたパンフレットには、いくつかの散策コースが紹介されていますが、懐古園は数年前に訪ねたことがあるため、今回は北国街道を散策することにしました。

パンフレットには、北国街道を散策するコースとして「駅からのおすすめ回遊コース(1時間半)」が経路図付きで紹介されています。

また、「ちょっと足をのばして与良までどうぞ」の紹介もあり、今回はちょっと足を伸ばして高浜虚子記念館まで散策することにしました。


パンフレットを見ると、今回散策するコースは「大手門・本陣エリア」「本町・藤村エリア」「荒町・寺町エリア」「与良・俳句のまちエリア」に大きく区分されています。

大手門・本陣エリア

小諸駅周辺は、江戸時代にはお城の中で、駅の北150mほどの所に立派な大手門が残されています。ここが四の門で、懐古園の入口には三の門が残っています。

大手門から北国街道に足を伸ばすと、江戸時代の宿場町の建物が見られます。

加賀百万石の大名行列も通った街道沿いには、立派な本陣が残っています。


懐古園・三門



小林金吾商店

「小諸観光交流館」の目の前にあるのが「小諸城址大手門公園」で大手門はこの公園にあります。

大手門は、慶長17年(1612年)に諸藩主仙石秀久が小諸城を築いた時代の建築です。

実戦的な城門で、華美な装飾をはぶいた質実剛健な建築は、東日本を代表する大手門建築の一つです。

平成の大修理により、仙石秀久創建当時の姿に甦っています。

国の重要文化財に指定されています。


「小諸観光交流館」から「小諸城址大手門公園」を右手に見て北方向に進むと、道路の左側に明治時代からの繭問屋の「小林金吾商店」、「油権/竹内木材」があります。

「油権/竹内木材」は、明治26年(1893年)に鉄道が開通し、駅周辺に問屋や倉庫が建ち始めます。油権/竹内木材は、信州の山地の材木を製材して東京に出荷し財をなしました。

どっしりした蔵造りで、鋼板の戸袋など、細部にも丁寧な仕様が見られます。


油権/竹内木材



旧本陣問屋



旧本陣問屋

「油源/竹内木材」から50mほど進んだところが北国街道です。

交差点を左折して北国街道に入ると、右手に「粂屋/旧脇本陣」続いて「山謙酒店」があり、150mほど進んだところが「旧本陣問屋」です。

「旧本陣問屋」は、江戸時代に小諸宿の本陣と問屋を兼ねていた旧上田家住宅です。

旧北国街道沿いに立つ桟瓦葺、総二階建ての建物で、現存する問屋場建築は全国に2棟しかなく、その希少価値などから主屋と表門が国の重要文化財に指定されています。


建築年代は18世紀末〜19世紀初めと推定されています。

大名駕籠の入口だった表門などが格の高さをうかがわせます。

非公開のため内部を見学することはできません。

大名の宿泊した「旧本陣主屋」は、「旧本陣問屋」から徒歩1分程度のところに移築復元されていますが、現在休館中です。


旧本陣問屋



山謙酒造

「旧本陣問屋」から北国街道を50mほど戻ると、左手に「山謙酒造」「粂屋/旧脇本陣」があります。

「山謙酒造」は幕末に、宿場の問屋として建てられたと伝えられています。

切妻造・妻入りの正面外観が印象的な建物です。

店に入ると、問屋場の作りを見ることができます。

裏通りをはさんで格式のある門の中に、古い酒蔵が並んでいます。



粂屋/旧脇本陣


「粂屋」は旧脇本陣の建物で、小諸宿で一番の人気の旅籠でした。

看板を下げる招き屋根、2階の手摺り、出桁造り、上り梁など、江戸期の旅籠の外観をよく残しています。

明治時代に、上級の客用に中庭奥に離れを増築しています。


大井伊賀守居城鍋蓋城址



大井伊賀守居城鍋蓋城址

「粂屋/旧脇本陣」から100mほど進んだ上り坂のカーブの途中に、石垣に囲まれた白い蔵のある家があり、石垣に「大井伊賀守居城鍋蓋城址」の看板があります。

この一画は、戦国時代に最初に作られた鍋蓋城の跡です。

江戸時代は家老の屋敷で、両脇には町人地との境の木戸があったとのことですが、その面影は残っていません。

街道を少し曲げて、城に入りにくくした構造は城下町ならではです。



旧角の大塚


「鍋蓋城址」から少し進んだところが「本町」の交差点です。

ここから「本町・藤村エリア」です。

本町は、古い商家の街並みが残り、古い建物そのまま再生させた商店やギャラリーが続いています。

骨董屋、ギャラリー、呉服屋、味噌屋などをのぞいて歩く楽しみもあります。


ほんまち遊子公園



ご馳走屋・火付け盗賊

「本町交差点」にあるのが「旧角の大塚」です。

大塚酒造の小売り部として、大正時代に建てられた建物です。

建物の奥には大きな蔵があったとのことです。

「角の大塚」と呼ばれて市民にも親しまれていましたが、現在は空き店舗です。


「旧角の大塚」の北国街道の反対側に「ほんまち遊子公園」があり、可愛い花が咲き誇っていました。

また、公園の傍には「ご馳走屋 火付け盗賊」「夢番地」など食事のできるお店があります。

「ご馳走屋 火付盗賊」は江戸後期の建物です。


???



本町の街並み



大塚本店

「本町交差点」から100mほど進むと、北国街道の両側に古い商家の並ぶ街並みとなります。

右手の最初の建物が「大塚本店」その隣が「塩川五右衛門」です。

「大塚本店」は、外部、内部ともに江戸時代の建物の形をよく留めた造り酒屋で、寛政11年(1799年)の建築です。

大商家の特徴である二列に並んだ居間の間取りを持っています。


昔は店の隣の空き地にあり、この建物は住居専用でしたが、昭和3年頃に店舗に改装され、その時につけられたショウウインドー、腰壁は当時としてはハイカラなものだったとのことです。

裏の馬場裏通りをはさんで酒蔵が並んでいます。


馬場裏通りの大塚本店の酒蔵



塩川五右衛門

「塩川五右衛門」は江戸時代の本町庄屋屋敷で、江戸後期の1740年頃の建物です。

江戸中期の洪水で流出し、再建以降に、庄屋と問屋を務める家となりました。

建物は天井の低い厨子2階、中央が吹き抜けで天窓がついています。

かつては隣の薬局も合わせて十間もの間口の大規模な町家で、たくさんの人が住み込んで商いをしていました。現在は、新聞、塗料、鉄砲火薬を商っています。


「大塚本店」の向かいに、「ほんまち町屋館」があります。

「ほんまち町屋館」は、大正12年(1923年)建築の味噌醤油醸造元の建物を利用して、地区コミュニティー施設として活用されており、町造りの拠点です。


大和屋紙店



本町の街並み



本町の街並み



そば七

「塩川五右衛門」の先が変則四叉路になっており、左に進むと「健速神社」、右に進むと「島崎藤村」の住んでいた場所ですが、散策コースにしたがって北国街道をそのまま進みます。

変則四叉路の先から新しい街並みが始まり、約200mにわたっていろいろな商店が並んでいます。

右側の一番手前にあるのが「そば七」です。


「そば七」は脇本陣代として江戸後期に建てられた立派な玄関屋根を持つ建物です。

壊れそうな建物を現在の「そば七」のご主人が借り、多くの人の手によって甦った建物です。

緑豊かな奥の庭を生かした店内は、ご主人のそばと同様に至るところにこだわりが見られます。

さまざまな催しに使われ、まちおこしの拠点の一つとなっています。


本町の街並み



萬屋骨董店/旧小諸銀行

「萬屋骨董店/旧小諸銀行」は、小諸の豪商が力を合わせ、明治28年に小諸銀行として開設した建物です。

厚い土壁の本格的な土蔵造りです。

1階から立ち上げた袖うだつ、明治の小諸商人の勢いを感じさせます。

店の2階からは広い中庭や奥の蔵が見られます。珍しい骨董品とともに、伝統的な建物も楽しむことができます。



大塚味噌醤油点


「大塚味噌醤油点」の創業は明治20年です。

母屋と並んで袖蔵があるのがこの建物の特徴で、母屋と蔵は2階でつながっています。

母屋は江戸後期、蔵は大正時代に建築されたものです。

蔵に掲げられた黒漆喰のコテ細工の看板が堂々としています。

「醇良にして独特な風味」と賞された老舗の味を今に伝えています。


大塚味噌醤油点



ギャラリーつたや

「ギャラリーつたや」は江戸時代から昭和初期まで、商人宿として繁盛した旅籠「つたや」です。

道の拡幅で軒は切られていますが、路地に続く壁が美しいです(写真なし)。

俳人の高浜虚子の常宿で、いくどとなく仲間を集めて句会を催し、その時の作品が現在でも各部屋に飾られています。

現在は、骨董や手作り工芸品などを扱う6店が各部屋に出店する共同ギャラリーとなっています。



本町の街並み


「結城屋」は江戸時代後期の建物で、江戸時代の深い軒と開け放たれた格子が、昔の商家の風情を伝えています。

店の奥の坪庭、明かりとりの天窓、箱階段などのコンパクトな納まりが、町家の機能美を見せています。

戦前は金庫、馬具、たばこ、荒物、履物など、戦後は下駄・草履を中心に商っていました。(写真なし)


本町の街並み



北国街道 本町と荒町の分岐点

「ギャラリーつたや」の少し先で北国街道は右方向に直角に曲がり、「荒町・寺町エリア」にはいります。

荒町は、かつては老舗の大店が並ぶ町で、現在でも町の南よりに古い建物が点在します。

また、町の北側は、寺院の多い寺町になっており古刹を楽しむことができます。

参道入口は北国街道に面しており、足を踏み入れると城下町の歴史と緑の豊かさを味わうことができます。



光岳寺 本堂


本町から荒町に直角に曲がる正面にあるのが「光岳寺」です。

徳川家康の母の「於大の方」を弔うために、ひ孫に当たる小諸城主・松平憲良が1624年に建立しました。

その後の城主・牧野家も、明治になり光岳寺に菩提寺を移したため、本堂の屋根には、徳川、松平、牧野の3つの家紋が掲げられています。

本堂には於大の方の位牌が祀られています。


惣門



山門

惣門は、両側の控え柱に切妻屋根を乗せた高麗門の形式です。

昭和2年(1765年)に小諸城内の足柄門として造られましたが、明治の初期にここに移築されました。

山門は、小諸城下では一つしかない2階建ての立派な楼門です。

本堂とともに江戸中期の建物です。


荒町に入って200mほど進んだ左手が「柳茂商店」です。

この建物を建てた初代・柳田茂十郎は、近代経営で成功した明治期の代表的な小諸商人です。

建物の中央の望楼は、その心意気を表しています。

店の中に入ると、てっぺんまで通っている太い大黒柱があります。また、昔の帳場や棚などが残されています。

もとは軒の深い町屋でしたが、道路拡幅により建物の前面が切られ、壁で覆った看板建築となっています。


柳茂商店



酢久商店



酢久商店

「柳茂商店」から100mほど進んだ右手の大きな建物が「酢久商店」です。

「酢久商店」は江戸中期から酢・味噌醤油を醸造するとともに、関東から仕入れた畳表、鰹節、茶、塩などを長野県内に渡す問屋業としても成功し、小諸藩の御用商人として藩にお金を貸して、武士に近い身分を与えられた旧家です。

小諸商人のリーダーとして鉄道開通、製糸工場の建設などに取り組み、小諸の発展に貢献しました。

明治初期に呉服商からこの建物を購入しました。江戸後期の建物です。

「御味噌」と書かれた看板には凝った彫刻が施されています。

店舗内には、さまざまな味噌や特産品のほか、商家の歴史を伝える展示があります。

酢久商店



嶋田屋と桑原邸



嶋田屋

「酢久商店」から50mほど進んだ交差点にあるのが「嶋田屋」です。

江戸時代には藩の御用商人でもあった呉服商の高橋四郎が建てた屋敷です。

高橋は明治初期に小諸の製糸業を発展させた先駆者となりましたが、明治14年(1881年)のデフレで屋敷を手放し、嶋田家が購入しました。

嶋田家は下駄荒物の卸商で、鉄道開通後、関東一円を商圏として財をなしました。


建物は明治初期の小諸豪商の屋敷構えを伝えており、主屋は低い2階に虫籠窓を持つ切妻、土蔵造りの立派な建物です。

奥には庭園があります。
店には昔の下駄なども並べられています。


嶋田家の隣にあるのが桑原邸です。
明治時代の建物です。


桑原邸



銀座会十字路付近の荒町銀座会



銀座会十字路付近の荒町銀座会



風味堂

「嶋田屋」から150mほど進んだところが「荒町2丁目交差点」です。

この付近は「荒町銀座会」と呼称されており、荒町2丁目交差点は「銀座会十字路」とも呼ばれています。

銀座会十字路付近にはレトロなデザインの建物が並んでいます。


レトロな街並みの中程に「山崎長兵衛商店」があります。

「山崎長兵衛商店」は明治期には、かんざし、櫛、香水、化粧品などおしゃれ小物やアクセサリーを売る店で、お嬢様から芸者まで、女性に大人気の店でした。

大正〜昭和初期、ここ荒町銀座会では、店の正面を洋風デザインにするのがはやり、「山崎長兵衛商店」も美しい外観となっています(写真なし)。


郭玉倶楽部



荒町・与良交差点付近の荒町銀座会


関連するホームページ


 小諸観光協会



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       風来坊


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