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京都の桜  (H16.4.10)



京都御苑近衛池付近の枝垂れ桜


京都御苑近衛池付近の枝垂れ桜


4月7日
()〜8日()に、京都&吉野へのバス旅行に参加した家内が、どちらも桜が素晴らしかったと大満足で帰ってきました。

この情報に触れた風来坊は、翌日からの関西方面への出張の帰りに京都を散策することにしました。

京都駅で途中下車し荷物を駅のロッカーに預けて、地下鉄で「今出川」駅に向かいました。


ちょうど京都御所の一般公開が行われており、かつ土曜日であることから、今出川駅では地下鉄のホームから3番出口へのエスカレータに長い行列ができておりました。

京都御苑までは行列の一員となって進みました。

幸いにして大部分の方は京都御所の一般公開が目的のようで、乾御門から入って右手に向かい、左手の近衛池付近のシダレザクラは比較的ゆっくりと見学することができました。


京都御苑近衛池付近の枝垂れ桜


里桜を背景に「はいポーズ」


中立売御門駐車場付近の里桜


京都御苑で最も多く見られるのは山桜のようですが、残念ながら山桜はすでに葉桜となっておりました。

京都御苑には山桜の他に枝が垂れる枝垂れ桜や八重の花をつける里桜があります。

枝垂れ桜は観賞用に栽培されたもので、小型の花を付けた細枝が垂れ下がる特徴があります。糸桜とも呼ばれ、近衛池付近、出水の小川付近などで見られます。


里桜も観賞用に栽培されたもので、八重咲きの大型の花が咲きます。

ボタンザクラとも呼ばれ、出水の小川付近に多く見られるようです。

写真の里桜はいずれも京都御所と京都御苑の中立売御門の駐車場との間に咲いていました。


中立売御門駐車場付近の里桜


里桜


京都御所からは昨秋の紅葉散策の道順で、丸太町通で鴨川を渡り、夷川発電所を経て平安神宮まで歩きました。

平安神宮に到着すると、応天門の前に「枝垂桜見頃」の掲示がありました。

期待に胸を膨らませて応天門をくぐり周りを見渡すと、本殿の左右の屋根の上にピンク色の枝垂桜が満開の姿を見せていました。

早速拝観料600円を支払い神苑に入りました。


平安神宮は平安遷都1100年を記念して、明治28年に遷都のおや神様である第50代桓武天皇を御祭神として創建されております。

明治時代の代表的な日本庭園として広く内外に知られている平安神宮神苑は、ご社殿を取り囲むように東・中・西・南の四つの庭からなっており、その広さは33000平方メートル(約1000坪)にも及びます。


平安神宮神苑入り口付近


神苑入口を入ったところの桜


満開の紅枝垂れ桜(南神苑)


春の紅枝垂桜、初夏の杜若・花菖蒲、秋の紅葉、冬の雪景色と四季折々に風光明媚な趣を見せるとともに、神々しい風景を織りなす神苑は、人の手で造り出されてから100年という星屑を経た今日、漲る自然の営みに触れることができ、訪れる人の心を平安へと誘ってくれるといわれております。



ことに春の紅枝垂桜は別名平安桜ともいわれ、濃紅色の花弁が15〜20枚、直径2cmほどの小さな八重の花が咲きます。

薄藍色の春の空に見事に映える緋色は、艶やかすぎる美しさで咲き匂い、さらに八重の絢爛を加えた優美な様子で咲き垂れます。


満開の紅枝垂れ桜(南神苑)


艶やかに咲き匂う紅枝垂れ桜



八重紅枝垂れ桜は、平安神宮が創建された明治28年、仙台市長遠藤庸治により寄贈されたものです。

そのもとは、近衛家に伝来した「糸桜」を津軽藩主が持ち帰り育て、それが再び京都に帰ったことから「里帰り桜」ともいわれています。

その雅やかな美しさは文豪谷崎潤一郎の名作「細雪」にも謳われているほど有名で、京洛随一ともいわれております。


満開の紅枝垂れ桜(南神苑)



神苑入り口の門をくぐると南神苑ですが、最初に目に飛び込んできたのが一面に空を覆っている「紅枝垂桜」でした。

次々と門をくぐる人から「綺麗ねえ!」という声が沸き上がっていました。

南神苑は昭和56年の完成で、平安時代の庭園の特色である「野筋」(ノスジー入り組んだ細い道筋)と「遣水」(ヤリミズー幾重にも流れ込んでいる小川)の様式が特色です。


満開の紅枝垂れ桜(南神苑)


満開の紅枝垂れ桜(南神苑)



特に『平安の苑』(南神苑)には平安時代に著された書物(伊勢物語、源氏物語、古今和歌集、竹取物語、枕草子)に記されている200種余りの植物が植栽されています。

紅枝垂桜が一番咲き誇っているのもこの南神苑でした。

また、翔鸞池(ショウランイケ)の周りは「野筋」と「遣水」のため、狭い道筋が入り組んでおり大変な混雑でした。



平安神宮の創建と同じ明治28年、平安遷都1100年を記念して日本で初めての市内電車が京都市に敷設されましたが、その縁の深さから廃止になった市内電車が南神苑の一隅へ展示されています。


紅枝垂桜に見とれて風来坊は電車にめぐり会うことができませんでした。


満開の紅枝垂れ桜(南神苑)


西神苑白虎池


西神苑白虎池

南神苑で紅枝垂桜を堪能したあと道順に沿って進むと西神苑となります。

西神苑は、平安神宮創建時に作庭されたもので、周囲を蒼林に囲まれ一角には
滔々と水の流れ込む滝があります。心落ち着く閑静な庭をなし、訪れる人を安らかな心地にしてくれます。

池の辺には「花菖蒲」が群生し、初夏から秋口にかけては池の水面に「睡蓮(スイレン)」と「河骨(コウホネ)」が彩りを添えます。


花菖蒲は伊勢系・肥後系・江戸系を中心に日本古来の品種ばかり200種、2000株が咲き競います。

見頃を迎える6月上旬から下旬には、白虎池上に「八ツ橋」が架かり一層の風情が増すようです。


西神苑から小川沿いに鬱蒼とした林間を抜けると、一瞬に視界が開け中神苑の蒼龍池を中心とした光景が広がります。

この中神苑は西神苑と同じく、平安神宮創建時に作庭されたもので、庭の中央に蒼龍池があります。池に浮かぶ珊瑚島までは「臥龍橋(ガリュウキョウ)」と称する飛び石が配置され、周囲には杜若(カキツバタ)が群生しています。

臥龍橋には、天正年間に豊臣秀吉によって造営された三条大橋と五条大橋の古石柱や梁が用いられています。


中神苑蒼龍池の臥龍橋


中神苑から尚美館方向を望む

この橋を渡る人には、「龍の背にのって池に映る空の雲間を舞うかのような気分を味わっていただく」という小川治兵衛の作庭の意図が織り込まれています。

紫一色の杜若およそ1000株が蒼龍池を彩るのは5月上旬から下旬ですが、その自然で素朴な景色のなかに一層貴賓にあふれた品種の一群があります。

光格天皇がご遺愛されたもので、白地に紫の模様が入り、千代紙で折った鶴をそのままそっと置いたかのような姿に「折り鶴」の名が付けられています。


泰平閣から栖鳳池を望む

東神苑に歩みを進めるとその圧倒的な景観に思わず溜息が漏れます。

東神苑は大正15年の完成ですが、他の神苑の3倍程度の大きな神苑で、その中央に広大な栖鳳池(セイホウイケ)があります。

中新苑から東神苑に入り北から南を望むと、栖鳳池の辺に建つ尚美館や釣殿の泰平閣越しに東山連山の一つ華頂山を借景とした雄大な眺めが広がります。

中国の伝説の仙郷「蓬莱山」をあらわした「鶴島」と「亀島」は松を頂いて池に浮かびます。


尚美館


泰平閣

また、尚美館(ショウビカン:通称=貴賓館)及び泰平閣(タイヘイカク:通称=橋殿)はいずれも大正の始めに京都御所より御下賜された建物で、当時御苑で開催されていた今日と博覧会で使用されていたものです。

泰平閣の両側には座席があり、そこに腰をかけると、広大な池に周囲の風景がとけ込み、立体的で奥行きのある景色が視線に拡がります。

特に対岸の紅垂れが栖鳳池と調和した光景は言葉を失うほどの絶景です。




 関連するホームページ

   京都御苑

   平安神宮



           風来坊


泰平閣から栖鳳池を望む


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