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日向地区の彼岸花
「日向薬師の彼岸花」は、伊勢原市の日向薬師付近に自生している彼岸花の総称で、彼岸花自生地も日向地区、藤野地区、洗水地区などに9ヶ所ほどあります。 彼岸花自生地のメインは、小田急線伊勢原駅から「日向薬師行き」の路線バスに約25分乗車した終点付近に拡がる日向地区のようです。
日向地区には路線バス終点の日向薬師停留所から上流に棚田のような感じで拡がる田園地帯のエリア、その対岸のエリア、そしてバス終点の日向薬師停留所から上流に向かって右側にある白髭神社付近の3ヶ所の群生地があります。 右側の白髭神社からは日向薬師に登っていくことができます。
今年は彼岸花の咲く時期が遅く、いつにしようかと迷っていましたが、数日前に行ったネットの友人から見頃でしたとのメッセージがありました。 しかしその後、雨の日が続きやっと9月29日に出かけることができました。 昨年よりも10日ほど遅くなりました。
今年は平日なのでゆっくり行けると思って出てきたところ、とんでもありませんでした。 小田急線伊勢崎駅北口発10時15分のバスに乗車しましたが、この日はいくつかのグループが彼岸花を見に行くようで、随分多くの方が積み残されました。 次のバスまで30分もあるため、すぐに臨時便が出たようです。
日向薬師は日本三薬師のひとつであり、週末は日向薬師への参拝や大山へのハイキングのために訪れる人が多いことからバスの便数も多いですが、平日は通勤時間帯を除くとバスの便数が週末の半分以下となります。 このため、彼岸花の時期などのように観光客が集中すると乗車できず、臨時便が運行されるようです。 もちろん、週末も彼岸花の時期は臨時便が運行されています。
バスの終点の「日向薬師停留所」では、日向地区自治会の方が「彼岸花自生地案内図」を配っておられますが、平日はこのサービスはないようです。 バスターミナルのすぐそばに、日向地区の彼岸花散策路の入口があります。
日向地区では田圃の周りの農道が、一方通行の散策路になっており、この散策路に沿って田園地帯に咲く彼岸花を楽しむことになります。 日向地区の散策路付近の彼岸花は見頃を迎えていましたが、上流のエリアは咲く時期が少し遅いようで、蕾も随分多かったです。
白い彼岸花
今年は彼岸花の開花時期が遅いため、日向地区の田圃の稲はすでに刈り取られており、黄色の稲穂と赤い彼岸花のコントラストを見ることはできませんでした。
実りの秋
彼岸花は中国が原産地で、稲作に伴って日本に伝来してきたものと考えられています。 彼岸花が田の畦で咲いているのは偶然ではなくて、それなりの意味があります。 ノネズミやモグラに田の畦に穴をあけられては、田に張った水が流れ出てしまい、水稲を育てることができなくなります。 このため、ノネズミやモグラが近づくことができないように、有毒な彼岸花を畦に植えたのです。
彼岸花は球根から花までアルカロイドのリコリンを中心とした有毒成分が含まれています。 このため。ノネズミやモグラに田の畦を荒らされなくなるのです。 田の畦に、咲く彼岸花は、稲作を守るための先人の知恵だったということができます。 彼岸花の花茎の汁に触れた場合は、有毒成分によって皮膚炎を起こすことがあるので要注意です。
空に向かって
この彼岸花の毒は水によく溶けるため、球根をよく水にさらせば食用にすることも可能です。 しかしながら、彼岸花の球根は普段は食べるのではなく、大飢饉の時に非常用食料とされたようです。
洗水地区の彼岸花
彼岸花は気温が下がると成長が始まります。 台風による長雨などの影響で、8月中旬から下旬にかけて気温が低くなると開花が早まります。 逆に9月上旬になってからも残暑が続くと、彼岸花の開花が遅くなる傾向にあります。
このように、彼岸花の開花時期は天候に左右されるようですが、例年秋のお彼岸の頃に見頃を迎えることが多く、「彼岸花」と呼ばれる由来のようです。 今年は9月に入っても猛暑日が続くなど、残暑が極めて厳しく、彼岸花の咲く時期も例年よりは随分と遅く、お彼岸の時期には殆ど咲いていませんでした。
彼岸花は曼珠沙華とも呼ばれていますが、この呼び名は仏教の梵語から来たもので、天界の美しい花を意味しています。 また、彼岸花は昔から稲作と深い係わり合いを持つ植物であることから、日本各地でそれぞれ呼び名が異なり、400〜500種類の呼び名があるとも言われています。
日向地区の彼岸花を見た後、1kmほど下流にある洗水地区の彼岸花を昨年に引き続いて訪ねました。 日向薬師バス停留所からバス道路に沿って、左右に咲いている彼岸花を眺めながら、なだらかな下り坂を約15分程度歩くと、「諏訪坂下」のバス停があります。
このバス停から民家に沿って50mほど入ったところが、洗水地区の彼岸花の群生地です。 洗水地区は日向地区ほど広くはありません。 しかしながら、ここは田圃の中に散策路があり、非常に近くから彼岸花を撮影することができます。
また、「彼岸花散策路」の案内板にしたがって進むと、田圃の一番高い部分に出ることもできます。 残念ながら案内板が途中でなくなっている感じでした。 洗水地区は稲刈りもまだ行われておらず、稲穂と彼岸花を楽しむことができました。
洗水地区からさらに500m程くだったところにも見事な群生地がありました。 この群生地はバスの中からも見える場所にあり、日向薬師行きのバスの中から素敵な光景を見ましたので、立ち寄っていました。 稲穂はすでに刈り取られていましたが、見事な光景に出会うことができました。
今年は13時20分に帰途につきましたが、途中の停留所でしたから満員のバスにどうにか乗車することができました。 やはり平日でも朝早く来るのが無難のようです。
アクセス 小田急線伊勢原駅から「日向薬師行き」バスで約25分。 終点の「日向薬師駅」で下車すると周囲に彼岸花が拡がっています。
駐車場 日向薬師折り返しバスターミナルに約20台の無料駐車場あります。 その他小規模な有料駐車場もあります。 風来坊