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ひょうたん池付近の紅葉
ひょうたん池の紅葉
那須高原の茶臼山に紅葉を見に行ってきました。 那須高原(那須町)は、東京から約180kmの距離、東京と仙台のほぼ中間に位置する観光と農林業の町です。
ひょうたん池に向かう木板の遊歩道
北西部には雄大な那須連山の主峰・茶臼山が聳え、山麓地帯には欽明2年(630年)開湯という歴史のある那須温泉郷、多くの宿泊施設や別荘地、殺生石などの史跡やテーマパーク、さらには皇室の方が静養する御用邸があることから「ロイヤルリゾート那須」として知られています。 裾野には広大な酪農地帯、南東部には八溝の山並みに抱かれた里山の農村風景が拡がっており、松尾芭蕉や義経伝説に代表されるさまざまな史跡もあります。
姥が平の紅葉
那須火山群は、栃木県と福島県との県境から南に連なる活火山群です。 那須火山群は北から三本槍岳(1917m)、朝日岳(1896m)、茶臼岳(1915m)、南月山(1776m)、黒尾谷岳(1589m)と連なり、那須五峰と呼ばれています。
那須火山群は約60万年前から活動が始まり、最初に北側にある甲子旭岳が60万年前に噴火しました。その後やや南側にある三本槍だけが40万年〜25年前に噴火し、さらに南側の朝日岳と南月山が20万年〜5万年前に活動しました。 これらの火山は流動性の少ない安山岩質溶岩以外に、流動性の高い玄武岩質溶岩も噴出し、現在の広大な裾野を形成しました。 茶臼岳は約3万年前から活動していますが、この山は流動性の少ない安山岩のみを噴出しているため、こんもりと盛り上がった溶岩ドームになっています。
有史後の噴火は爆発型で泥流を生じやすく、1408年から1410年の活動では茶臼岳溶岩ドームが形成されるとともに、噴出降下した溶岩による火砕流が発生し、犠牲者180余名を出したという記録が残っています。 それ以後は、小規模な水蒸気爆発や地震群発を繰り返しています。 茶臼岳の火山活動は、周辺の沢山の温泉を噴出させています。 また、有毒な火山ガスを出して近づく生き物を死に至らしめる場所もあり、特に殺生石は有名で、周辺は公園化しており、駐車場も整備されています。 ただし、殺生石の周りは危険のため立ち入り禁止になっています。
那須岳の主峰である茶臼岳は、噴火口を伴う山頂部は栃木県那須町にありますが、その裾野は那須塩原市や福島県西白河郡西郷町にまで及んでいます。 茶臼岳東麓には県道17号那須高原線が整備され、茶臼岳の中腹にある「峠の茶屋(那須岳登山口)」まで自家用車で登ることができます。 また、峠の茶屋の少し下には那須ロープウェイの那須山麓駅があり、那須山頂駅までロープウェイを利用することにより、茶臼岳9合目まで容易に到達することができます。
峠の茶屋及び那須山麓駅ともに大規模駐車場を備えています。 また、那須山麓駅まではJR黒磯駅や那須塩原駅から東野バスの路線バスも利用できるため、観光客が比較的気軽に訪れることができます。 しかしながら、アクセスが県道17号線1本のみで、かつ唯一のアクセスの県道17号線が峠の茶屋でUターンしなければならないため、観光シーズンは非常に混雑(渋滞)します。したがって、平日がおすすめです。
茶臼岳や朝日岳などではナナカマド、ドウダンツツジ、モミジなどが紅葉します。 秋の紅葉は10月5日〜15日頃がピークとのことですが、昨年10月14日に訪ねたところすでに見頃過ぎでしたので、今年は10月前半のできるだけ早い機会に訪ねようと思っていました。 しかしながら、今年も昨年同様に台風の影響を受けました。 今年は、台風18号が10月6日に関東地方を直撃したため、それ以前は天候が不安定で、台風18号通過後の10月8日に訪ねることができました。
牛ヶ首南側の紅葉
那須ロープウェイは茶臼岳7合目の那須山麓駅と9合目の那須山頂駅の間に架けられており、全長812mで、高低差は293m、最大勾配は29度です。 乗車定員は111名で、3分40秒で7合目から一気に9合目まで登ることができます。 料金は片道670円、往復1130円です。
茶臼岳は雲の中
10月8日は、天気予報では晴れだったものの、黒磯駅からバスで那須連峰に近付くと、茶臼岳はすっぽりと雲に覆われています。 那須ロープウェイ山麓駅に到着すると、周囲は雲が流れている感じで、視界が悪い状況です。 この状況では、ロープウェイで登っても何も見えないかもしれないと思いましたが、紅葉はすでに見頃を迎えており、折角ここまで来たので、登ることにしました。
ロープウェイも雲に突入
ロープウェイ山頂駅(標高1684m)の周囲にも雲が
切符を購入してロープウェイに乗車すると、ロープウェイの進行方向は雲で覆われており、雲の中に突っ込んでいく感じです。 ロープウェイの山頂駅に到着したところ、やはり周囲は雲に覆われていますが、周囲を見回すと日射しの届いている部分もあります。 ロープウェイ山頂駅から茶臼岳山頂への登山道を100mほど進むと、廻りの雲がすっかりなくなり、青空がのぞいてきました。
茶臼岳山頂方向は晴れてきました
さらに100mほど進むと、雲の上に出たような感じで、周囲は晴天状況となりました。 今回の目的は紅葉ですから、茶臼岳山頂はパスして、牛ヶ首経由で姥が平に行くことにしました。 今回のコースは、次のとおりです。 ロープウェイ山頂駅→茶臼岳と牛ヶ首分岐点→牛ヶ首→姥が平→牛ヶ首→峰の茶屋との中間点→牛ヶ首→ロープウェイ山頂駅
登山マップ
標高はロープウェイ山頂駅が1684m、茶臼岳と牛ヶ首分岐点が1718m、茶臼岳1915m、牛ヶ首1731m、姥が平1594mです。 登山マップでは、ロープウェイ山頂駅から牛ヶ首まで30分、牛ヶ首から姥が平までは下り15分、上り20分、牛ヶ首から峰の茶屋まで20分(中間点までは10分)となっており、今回のコースは1時間55分です。
登山マップの拡大図です(地図をクリックするとさらに拡大します)
山頂と牛ヶ首との分岐点(標高1718m)
那須ロープウェイ山頂駅に到着すると、前方に緩やかな勾配の比較的幅の広い登山道が続いています。 登るにしたがって登山道は広がりますが、足場は細かい石から次第に砂地になってきます。勾配のある砂浜を歩く感じとなり、勾配が急な部分は足が滑ります。 分岐点から振り返ると、登山道の下の方のロープウェイ山頂駅方面は雲に覆われていました。標高差は30m程度ですが、随分と異なる感じです。
登ってきた道を振り返ると下方は雲の中!
分岐点から牛ヶ首に向かう登山道
右上が茶臼岳山頂への登山道
山頂駅から200mほど進むと、茶臼岳山頂方面と牛ヶ首方面の分岐点になります。 分岐点の標高は1718mですから、ここから茶臼岳山頂1915mまでの標高差は約200mです。 登山マップでは、ロープウェイ山頂駅から茶臼山山頂までの所要時間は登りが50分、下りが40分となっています。 茶臼岳山頂方面はここから勾配がやや急になりますが、登山道は設定されてなく、幅広い山の斜面を駆け上っていく感じです。
牛ヶ首に向かう登山道
今回は、分岐点から左に進む牛ヶ首に向かいます。 牛ヶ首はロープウェイ山頂駅から800m、分岐から600mとなっていますが、距離は直線距離のようで、実際に歩く距離はこれよりも少し長い感じです。 分岐点と牛ヶ首の標高差は13mですから、緩やかな上り下りを繰り返しながら、茶臼岳の9合目付近を周回する感じとなります。
牛ヶ首に向かう登山道 大きな岩も
牛ヶ首に向かう登山道に左手の紅葉
登山道の幅も狭くなり、一部には岩場を上り下りしなければならない個所や行き違いのできない場所もありますが、景観を楽しみながら気楽に散策することができます。 牛ヶ首に向かう登山道にはところどころに黄色のマーキングがつけられています。 霧などのために急に視界が悪くなった場合に、道に迷わないための目印です。 今回は下の方は雲に覆われていましたが、散策路は視界が良かったため、お世話にならずに済みました。
分岐点から300mほど進むと、左手下方に真っ赤な紅葉が見えてきます。 登山道を進むにしたがい紅葉の見える範囲が拡がります。 紅葉の見える登山道は牛ヶ首まで続いています。 ロープウェイ山頂駅から牛ヶ首までの所要時間は30分となっていますので、往復1時間で素晴らしい紅葉を楽しむことができます。 しかしながら、今回は紅葉の広がる斜面の下半分は雲の中でした。
牛ヶ首で登山道が4つに分かれています。 左方向に進むと日の出平、南月山になります。 牛ヶ首から南月山までの往復は1時間20分程度かかるようです。 右方向に進むと峰の茶屋で所要時間は20分です。
牛ヶ首に来ると反対側の斜面にも見事な紅葉が拡がっています。 姥ヶ平の紅葉です。 距離は700mで、下り15分、上りが20分です。 姥が平は茶臼岳の西側になりますが、ロープウェイのある東側とは気象条件が随分と異なるようで、麓の方まで雲は見られませんでした。 しかしながら、上空には雲が流れており、日射しの届いているエリアと届かないエリアが混在していました。
牛ヶ首に向かう登山道の紅葉
牛ヶ首
今回は、天候が不安定なことから、最初に姥が平に向かうことにしました。 牛ヶ首と姥が平とは標高差が140mほどあり、登山ガイドでは下り15分、上り20分となっています。 上から眺めると緩やかな坂を下れば良いという感じですが、下りはじめると結構急坂です。 登ってくる人を見ると結構大変そうな感じです。
写真を撮りながら15分程度で姥が平に到着しました。 姥が平は上から見ると結構広い感じですが、到着すると思ったほど広くはありません。 テーブルや椅子が準備されており、食事時ながら休憩できるようになっています。
姥が平
姥が平から100mほど進むと「ひょうたん池」の入口です。 ひょうたん池には木板で造られた遊歩道を200mほど進むと到着です。 ここからの茶臼岳の光景は素晴らしいものがあります。 茶臼岳の紅葉の一番のスポットともいえる場所です。
姥が平から牛ヶ首への登山道
ひょうたん池に映る茶臼岳を撮影できるようですが、「木板から降りないで下さい」と掲示されており、パスしました。 ひょうたん池からの迂回路はありませんので、姥が平に戻り、そして牛ヶ首を目指して元来た道を登ることになります。 姥が平から牛ヶ首まで700m、20分となっていますが、進むに従って勾配が急になる感じの上り坂で、なかなか厳しい上り坂です。
牛ヶ首から峰の茶屋の方に進み、白煙の上がる様子を間近で見学することにしました。 牛ヶ首から3分ほどで白煙の上がっている付近に到着です。 牛ヶ首から峰の茶屋に向かう途中の斜面には噴気孔が多数あり、硫化ガスなどが噴出しているのです。 登山道のすぐ傍からも、あちこちから白煙が上がっています。
牛ヶ首から峠の茶屋に向かう登山道
「硫化水素は無色無臭の有毒ガスで、危険ですから噴気孔には近づかないで下さい」との掲示がありました。 かつてはここで硫黄の採掘が行われ、火薬などの原料として利用されたとのことです。 「峰の茶屋」という地名は、当時硫黄精錬所で働いていた従業員の休憩所のことで、現在は避難小屋になっています。
白煙の上がっているところを過ぎて100mほど進むと、岬の先端のような部分に出て、登山道は右に大きくカーブします。 この付近は茶臼岳の北側を展望できる地点です。 右手前方には福島県の山々が連なっており眼下には姥が平の紅葉が広がっています。 こちらか名眺める紅葉もなかなかのものがあります。
峠の茶屋に向かう散策路の中間付近で引き返し、牛ヶ首を経由してロープウェイ山頂駅まで戻りました。 ロープウェイ山頂駅のある、茶臼岳の東側に近づくにしたがい、雲が出てきて、最終的には視界30m程度となりました。 山の気象の変化は激しいことを実感させられました。
峠の茶屋に向かう登山道からの姥が平の紅葉 中央やや右の窪みがひょうたん池
峠の茶屋に向かう登山道からの姥が平の紅葉
南月山方面
今回は黒磯駅からロープウェイ行きの路線バスを利用しましたが、那須街道は土・日・祝日は季節にかかわらず混雑し、紅葉の時期は特に混雑・渋滞します。 昨年は3連休の最終日に行ったため、往路、復路とも1時間のところが1時間40分要しました。 今年は平日に行きましたので、往復ともに1時間でした。 やはり茶臼岳の紅葉は平日が良さそうです。
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