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雛のつるし飾り
メイン会場:文化公園「雛の館」
「雛のつるし飾り」は、雛まつりのとき雛壇の両側に人形を飾る、伊豆稲取に江戸時代から伝わる風習です。 「雛のつるし飾り」は紅白の竹ひごの輪に5本の糸を吊し、この糸にさまざまな細工を施した、稲取地区独特の由来ある和裁細工55個を雛人形の脇に飾り付け、女の子の健やかな成長、良縁を願う雛まつりです。 雛壇の両脇に吊すため、二対で一組、計110個となります。
江戸時代においては雛飾りを購入できるような裕福な家庭はまれで、せめて雛飾りの代わりに愛する子供や孫の為に手作りの雛飾りで初節句を祝おうという、切ない親心から生まれたのが 雛のつるし飾りの発祥の由来と言い伝えられています。
江戸時代より今日まで伝承されてきた、わが娘の幸せと健康を一針の糸、古い端切れに想いを託し祈りを籠めた素朴な雛まつり、つるし雛の風習は、親の子を思う心が形になった独自なつるし飾りです。 その伝統を現代に受け継ぐ、雛壇の両脇に儚く揺れる和裁細工は稲取の伝承文化といえるものです。
雛のつるし飾りまつりは、今年は1月20日から3月31日までの約70日間開催されています。 雛のつるし飾りまつりは、2ヶ所のメイン会場「文化公園」「むかい庵」、3ヶ所の協賛会場「なぶらとと」「二つ掘り」「岬の館」の計5ヶ所で展示が行われています。
伊豆稲取では、昭和30年初め頃まではつるし飾りを飾ってある家庭を数多く見かけましたが、近年は作品を作ることができる人が少なくなり、家庭でもあまり見かけることができなくなりつつあったとのことです。 稲取独特の美しい風習を後世に残したいと、稲取婦人会の皆さんが復刻に取り組み、町民文化祭につるし飾りを展示するとともに、ひなの会を発足させました。
コンテスト応募作品
雛の和細工のさげ物の風習は全国でも珍しく、九州柳川地区、山形酒田、伊豆稲取地区の3地区のみが、歴史的な背景や由来、文献等、つるし飾りの資料が現存しており、日本三大つるし飾りといわれています。
柳川さげもん 福岡県南部の有明海に面した柳川の町が、春の訪れとともに華やかに彩られるのが雛壇の両脇に飾られる「さげもん」です。 初節句のお宅の華やかな雛壇とさげもんを観賞して、お祝いするのが古くからの風習で、多くの人にお祝いしてもらった女の子は多くの幸福を手にするといわれています。
柳川さげもん
稲取つるし飾り
酒田傘福
昔稲取地区では、娘が成人後には、1月14日に行われる、どんど焼の際に、『雛人形と吊るし飾りを神様に奉納する』、すなわち、どんど焼の際に一緒に燃やしてしまう風習があったために、それ以前のつるし飾りを見つけることは非常に困難とのことです。
メイン会場:雛の館「むかい庵」
現存する100年ほど前の飾りも、地元の蔵屋敷の奥にしまいこんであった物や、各家庭の納戸から見つかった物がほとんどとのことです。 材料の素材に使われているものは、七五三の着物を切った物や、和服の切れ端、ちりめん、反物の端、その他色々です。
裁縫はすべて手縫いで、ミシン等は一切使っていませんので、本当の意味での各家庭での、わが娘への手作りの贈り物といえるものです。 雛のつるし飾りには子供の健やかな成長を願う親の心が形をなしています。
協賛会場:なぶらとと
稲取の飾り物には、それぞれに健康に起因する意味合いがあり、つるし飾りには親の願いごとが形となって雛に籠められているのです。 別名「桃飾り」と呼ばれる110個の飾りには、それぞれにいわれがあります。
這い子人形 ハイハイをたくさんする子は丈夫にそだちます。 可愛らしいわが子にたとえて「這い子」人形なのです。 座布団 赤ちゃんといえば、座布団の周りでハイハイ。 「這えば立て、立てば歩めの親心」のたとえです。
おかたごろ おかたさまとは、美しいお嬢様や奥方様のことです。 将来はそのような由緒ある家柄のところに嫁いでくれればいいという、娘の幸せを願う切ない親心の表れです。 猿っこ さる(去る)にかけて、厄や災いが去るという意味が込められています。
三番そう おめでたい祝い事の始まりに、欠かせない大切な役割を持っています。 稲取では江戸時代から伝わる子供三番そうの舞が、今でも七月の夏祭りに舞われています。 もも 桃には邪気を除くということわざがあります。除ける強い力があります。 「我が子が幸せになりますように」との切ない親心の願いを込めて。
うさぎ 赤い目のウサギは病気を退治する力を持っていると信じられていたそうです。 そのことわざのとおり、病気にかかってもすぐ治るようにとの願いが込められています。 三角 香り袋、とそ袋、薬袋、昔は皆三角の袋でした。病気になったらやはり薬の世話にならなくてはいけません。 そういう病気に無縁なようにとの願いが込められています。
唐がらし 昔、雛人形の衣装などが虫に食われないように唐辛子を入れて収納していました。このことをもじって可愛い娘に悪い虫の『男関係』がつかないように、悪い虫を避けるようにとの願いが込められています。 俵ネズミ ねずみは金運・霊力がある大黒様のお使い。多産でマメな働き者になるように。俵は五穀豊穣の意味です。
アクセス 5つの会場は分散しています。 メイン会場雛の館「むかい庵」は伊豆稲取駅から南東方向徒歩10分 メイン会場「文化公園雛の館」は伊豆稲取駅から南西方向徒歩15分 シャトルバスが運行されており、会場の移動に利用できます。
料金 メイン会場は旅館組合の公式会場で、料金200円。 協賛会場は個人の施設で、料金は会場で異なり、無料〜200円。 関連するホームページ 稲取温泉旅館協同組合 伊豆稲取の雛のつるし飾り 風来坊