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日向薬師の田園風景と彼岸花
風来坊が巾着田の曼珠沙華を見に行った9月23日(秋分の日)に、日向薬師の彼岸花を見に行ったネットの友人から、素晴らしい彼岸花のレポートがありました。 開花状況について質問したところ、「稲刈りは半分ほど済んでいました。彼岸花はほぼ満開でしたので、来週だと少し遅いかもしれません」とのことでした。
続いて9月26日に行ったネットの友人から、「日向薬師の彼岸花が見頃でした。とってものどかで落ちついムード、巾着田とは違った良さがあります。」との情報が届けられました。 こうした情報から、9月27日(土)ならばまだ大丈夫だろうと判断して、日向薬師に彼岸花を見に行くことにしました。
「日向薬師の彼岸花」は、伊勢原市の日向薬師付近に自生している彼岸花の総称で、彼岸花自生地も日向地区、藤野地区、洗水地区など数カ所あります。 彼岸花自生地のメインは、小田急線伊勢原駅から「日向薬師行き」の路線バスに約25分乗車した終点から、さらに上流に拡がる日向地区のようです。
日向薬師に行くために小田急線伊勢原駅に着いたところ、バス停には50m以上の長蛇の列! どうしたのかと思ったところ、この列は幸いにも「大山ケーブル行き」のバス停でした。 秋のシーズンが始まるこの時期は、大山登山は大人気で、土・日曜日の朝は大変な混雑のようです。
日向地区では田圃の周りの農道が、一方通行の散策路になっており、この散策路に沿って田園地帯に咲く彼岸花を楽しむことになります。 日向地区の散策路付近の彼岸花は、見頃を少し過ぎているところもありましたが、田の畦の彼岸花はちょうど見頃で、懐かしい田園光景に久し振りに出合うことができました。
実りの秋
今年は大部分の田圃で稲刈りが終わっており、稲刈りの風景を見かけることができませんでした。 一昨年訪ねた時は、ちょうど稲刈りが行われており、懐かしく感じましたが、今年は残念でした。
彼岸花は中国が原産地で、稲作に伴って日本に伝来してきたものと考えられています。 彼岸花が田の畦で咲いているのは偶然ではなくて、それなりの意味があります。ノネズミやモグラに田の畦に穴をあけられては、田に張った水が流れ出てしまい、水稲を育てることができなくなります。 このため、ノネズミやモグラが近づくことができないように、有毒な彼岸花を畦に植えたのです。
彼岸花は球根から花までアルカロイドのリコリンを中心とした有毒成分が含まれています。 このため。ノネズミやモグラに田の畦を荒らされなくなるのです。 田の畦に、咲く彼岸花は、稲作を守るための先人の知恵だったということができます。 彼岸花の花茎の汁に触れた場合は、有毒成分によって皮膚炎を起こすことがあるので要注意です。
この彼岸花の毒は水によく溶けるため、球根をよく水にさらせば食用にすることも可能です。 しかしながら、彼岸花の球根は普段は食べるのではなく、大飢饉の時に非常用食料とされたようです。
満開の彼岸花
彼岸花は気温が下がると成長が始まります。台風による長雨などの影響で、8月中旬から下旬にかけて気温が低くなると開花が早まります。 逆に9月上旬になってからも残暑が続くと、彼岸花の開花が遅くなる傾向にあります。 このように、彼岸花の開花時期は天候に左右されるようですが、例年秋のお彼岸の頃に見頃を迎えることが多く、「彼岸花」と呼ばれる由来のようです。
彼岸花は曼珠沙華とも呼ばれていますが、この呼び名は仏教の梵語から来たもので、天界の美しい花を意味しています。 また、彼岸花は昔から稲作と深い係わり合いを持つ植物であることから、日本各地でそれぞれ呼び名が異なり、400〜500種類の呼び名があるとも言われています。
コスモスと彼岸花
日向薬師バス停から日向薬師に登っていく坂道の右手に個人の駐車場があります。 この駐車場の傍の坂道をあがったところにコスモスが綺麗に咲いていました。 彼岸花、コスモス、キバナコスモスを同時に楽しむことができるエリアです。
あまり知られていないエリアのようで、訪れる人数も少ない感じです。 しかしながら、数人のカメラマンがいろいろな角度から熱心に写真を撮っていました。
アクセス 小田急線伊勢原駅から「日向薬師行き」バスで約25分。 終点の「日向薬師駅」で下車すると周囲に彼岸花が拡がっています。
キバナコスモス
彼岸花とキバナコスモス
駐車場 日向薬師折り返しバスターミナルに約15台の無料駐車場があります。 その他小規模な有料駐車場もあります。 風来坊
日向薬師本堂
日向薬師は日向山霊山寺とよばれ、霊亀2年(716年)に行基菩薩によって創建された真言宗の古刹です。 行基が熊野を旅した時に、薬師如来のお告げを受けて、この地に霊山寺を建立したと伝えられています。 日本三薬師の一つです。
日向薬師には、鉈彫の本尊薬師如来三尊像を始め、薬師如来像・阿弥陀如来像・四天王・十二神将など25点の国の重要文化財があります。 また樹齢800年と言われる、境内の幡かけ杉は、県の重要文化財に指定されています。 御本尊は4月15日の大祭の他、初薬師(1月8日)と正月33カ日に御開帳になります。
宝物殿
鐘楼
旗かけ杉 足利尊氏が幡をかけ、平和と幸せ・五穀の豊かな実りを祈った「幡かけの杉」として親しまれています。 「宝城坊の二本杉」として県の天然記念物に指定されています。 樹齢約800年で、樹高は33mと35mです。
幡かけ杉
金剛力士像 金剛力士は仁王ともいわれ、寺の表門にいて寺の境内を守るとされています。 一体は口を開いて左手に金剛杵をとり、一体は口を閉じて右手を開いた形に現れています。 阿(あ)形像・吽(うん)形像の二形像です。
仁王門
金剛力士像