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忍野八海・中池
忍野八海(おしのはっかい)は、その名前のとおり8つの池から成っています。 忍野八海付近は、昔は「宇津湖」という湖だったそうですが、延暦19年〜21年(800年〜802年)の富士山の大噴火の時に流れた溶岩流によって、宇津湖が山中湖と忍野湖に分かれました。
忍野湖は富士五湖と関連する湖でしたが、その後、川の浸食や掘削排水のため枯れてしまい、盆地になりました。 忍野八海は、富士山の伏流水の湧出口が池として残ったものです。 忍野八海の湧き水は、富士山に降り積もる雪解け水が、地下の不透水槽という溶岩の間で、約80年の歳月をかけてろ過された澄みきった水です。
水車小屋と富士山
美しく神秘的であり、移り変わる四季に彩られた富士を水面に映し込んだ姿は、水本来の姿と護るべき美しさをそっと訴えているようにも感じられます。 水質・水量・保全状況・景観の良さから、昭和60年に、全国名水百選に選定されています。 また、新富岳百景選定地でもあり、国の天然記念物にも指定されています。
忍野八海には、その名前のとおり8つの池がありますが、周辺にはそれ以上の池が存在します。 しかしながら、「出口池」「御釜池」「底抜池」「銚子池」「湧池」「濁池」「鏡池」「菖蒲池」以外の池は「忍野八海」とは何ら関係の無い人工池だそうです。
中池の中の深い池
水深10mの底まで見える感じです
水車
特に池本荘の前面にある「中池」は、比較的規模が大きく目立つ上に忍野八海の中心に位置することから、忍野八海の1つと勘違いしてしまう人が多いようです。 また、この「中池」の中心には別の深い池が存在していますが、これも人工の池です。 また、「はんのき資料館」近くの大きな池も人工池だそうです。
湧池 橋の下が開口部
湧池(わくいけ) 直径約12mのほぼ逆円錐状の池です。 湧水量は八海の中で一番多く、池の北端の開口部から湧き出る地下水の状態はすさまじく、周辺生い茂るセキショウモが湧水の勢いにあおられて翻るとのことです。 現在でも、住民の飲用・灌漑用水の供給源として、非常に貴重な湧き水とのことです。
湧池
毎年9月19日には、この湧き水を与えてくれたという伝説の主である、「木花開耶姫命(コノハナサクヤヒメノミコト)」の祭りを行い、神輿をこの池の水で洗い浄めるのが恒例となっています。 八海めぐりの第5番の霊場として八大竜王の一神、徳叉迦竜王(とくしゃかりゅうおう)をまつり、石碑には「いまもなほわく池水に守神の すへの世うけてかはれるぞしる」との和歌が刻まれています。
濁池(にごりいけ) 川床に一区画をもった、ほぼ楕円形の小池で、池としての景観をようやくとどめている程度です。 部分的には濁っているとのことですが、濁っている場所は見当たりませんでした。
濁池
濁池と富士山
八海めぐりの第6番の霊場として、阿那婆達多竜王(あなばたつだりゅうおう)をまつっています。 現在は池に埋もれてしまったそうですが、石碑には「ひれならす龍の都のありさまを くみてしれとやにごる池水」との和歌が刻まれていたといわれています。
鏡池(かがみいけ) 不規則な長方形の小池で、湧出量はわずかです。水は常に濁っていますが、風がない時は富士山がはっきりと映るため、この名が名付けられました。 この池の水は、ことの善悪を見分けるといわれ、八海めぐり第7番の霊場として、麻那斯竜王(まなしりりゅうおう)をまつり、今は無い石碑には「そこすみてのどけき池はこれぞこの しろたへの雪のしづくなるらん」との和歌が刻まれていたといわれています。
鏡池と逆さ富士
菖蒲池
菖蒲池(しょうぶいけ) 南西から北東に向かっての細長い沼状の池で、以前は、現在よりも多くの菖蒲が生い茂り、香気がたちこめていたといわれており、悪疫流行の際には村人はこの菖蒲を取って身体に巻き付ける風習もあったともいわれています。 また、毎年旧正月14日には筒粥の神事をこの池で行い、年内五穀の豊凶を祈ったといわれています。
八海めぐり第8番の霊場で、優鉢羅竜王(うはらりゅうおう)をまつり、石碑には「あやめ草名におふ池はくもりなき さつきの鏡みるここちなり」との和歌が刻まれています。 この菖蒲池でも逆さ富士を見ることができました。
菖蒲池と逆さ富士
銚子池
銚子池(ちょうしいけ) 直径約9m、深さ約3mの池で、形状は長柄の銚子に似ています。 池底の湧き水の状態は間欠的で、一時的に砂をあげて湧き、暫く休み、また湧くという状況を繰り返しています。 水草の綺麗な池です。
八海めぐり第4番の霊場として、池畔に和脩吉竜王(わしゅきちりゅうおう)をまつり、石碑には「くめばこそ銚子の池もさはぐらん もとより水に波のある川」との和歌が刻まれています。
銚子池の水草
お釜池
お釜池(おかまいけ) 釜中に熱湯が沸騰するように湧水するという形状から、この名前が付けられたといわれていますが、大蟇(ひきがえる)に関する伝説と結びつけて大蟇池とも呼ばれています。 関東大震災以後、この池の湧出量が減少し、沸騰するようには湧出しなくなったとのことです。
八海めぐりの第2番目の霊場として、祓難蛇竜王(ばつなんだりゅうおう)をまつり、今はない石碑には「ふじの根のふもとの原にわきいづる 水は此の世のおかまなりけり」との和歌が刻まれていたといわれています。
かやぶき茶屋
忍野八海にはこのほかに底抜池と出口池がありますが、今回は時間の関係でパスしました。 中池から湧池と反対方向に進むと鏡池、菖蒲池があり、その奥にかやぶき茶屋があります。 なかなか風情のある場所です。
関連するホームページ 忍野八海 風来坊
かやぶき茶屋と富士山