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登舷礼式の準備を完了して観閲部隊に向かって航行する受閲部隊(観艦式予行)
海上自衛隊横須賀基地の入口、生憎の雨模様です
平成18年度の自衛隊観艦式が10月29日に相模湾で挙行されました。 自衛隊観艦式は3年に1回開催され、観閲官は内閣総理大臣です。 ということで今年の観閲官は就任して間もない安倍内閣総理大臣です。
観艦式は、1347年、英仏戦争の時、イギリス国王エドワード3世が自ら艦隊を率いて出撃する際に、その威容を観閲したことに始まるといわれています。
岸壁に係留中の観艦式参加艦艇
視界の悪い中、相模湾に向かう艦艇
わが国では、明治元年天皇陛下をお迎えし、大阪・天保山沖で実施された「観兵式」が始まりであり、当時の兵力は艦艇6隻でした。 「観艦式」という言葉が初めて使われたのは、第4回に当たる明治33年神戸沖で行われた大演習観艦式です。
旧海軍最後の第19回観艦式は、昭和19年に横浜沖において実施された、紀元2600年特別観艦式だそうです。 艦艇98隻、航空機527機が参加した極めて壮大なものであったようです。
徐々に陣形が整ってきています
観閲官乗艦の護衛艦「くらま」(右側)に接近する受閲部隊
一直線に並ぶ受閲部隊
海上自衛隊では、昭和32年に自衛隊記念日行事の一環として観艦式を実施することが定められ、今年の自衛隊観艦式は第25回目だそうです。 今年の観艦式は艦艇48隻(海上保安庁1隻を含む)、航空機50機(陸上自衛隊7機、航空自衛隊8機を含む)が参加して行われました。
観艦式は、外国では停泊している艦艇を観閲する、停泊観艦式が一般的なようですが、日本では艦艇が航行しながら観閲を受ける移動式です。 移動式の観艦式は参加する艦艇が一糸乱れぬ動きをする必要があるそうで、極めて難しいようです。 また、これだけ多くの艦艇、航空機が参加するのですから、航行船舶の多い東京湾での観艦式の開催は困難なため、相模湾で開催するのだそうです。
受閲部隊は登舷礼式です(観艦式予行)
潜水艦部隊です
また、参加する艦艇の隻数が多いことから、海上自衛隊の横須賀基地のみでなく、横浜新港、横浜瑞穂埠頭、横須賀新港、木更津港などから出入港することになっています。
10月29日は前夜からの雨は朝方になってほとんど止んだものの、霧がかかったような視界の悪い天候でした。 それぞれの港から相模湾までは2〜3時間もかかるとのことで、8時過ぎから逐次出港して相模湾に向かいます。 風来坊の乗艦したイージス艦「ちょうかい」は午前9時に海上自衛隊の横須賀・吉倉港を出港しました。
観閲官安倍総理乗艦の護衛艦「くらま」
観閲を終えて複列の間を反対に航行する受閲部隊
横須賀を出港して30分ほどで、1日に航行する船舶が約700隻で、日本一の航行の難所といわれている「浦賀水道航路」です。 ここには船舶が航行するための航路帯が設定されており、すべての船舶はこの航路帯を通過しなければ東京湾に出入できないことになっています。 航行の安全を確保するため、航路帯は右側通行で、かつ最大速力12ノットと速度制限まで課せられているそうです。
「浦賀水道航路」を通過して暫くすると、あちこちの港から出航した艦艇が集まってきて、陣形をつくり始めました。 7隻からなる観閲部隊が縦列になって航行し、その左側700ヤードに7隻からなる観閲付属部隊が縦列になって航行します。 内閣総理大臣の観閲を受ける受閲部隊は、護衛艦「たちかぜ」を先頭に、護衛艦、潜水艦、海上保安庁巡視船などの22隻が縦列を整形して反対方向から航行してきます。
登舷礼式の護衛艦「たちかぜ」
護衛艦「たかなみ」
海上保安庁巡視船「やしま」
輸送艦「しもきた」
そして、観閲部隊、観閲付属部隊の中間を反対方向に航行しながら内閣総理大臣の観閲を逐次受けることになります(最初の写真)。 観閲を受ける艦艇の甲板上には乗組員が一列に整列しています。 これは登舷礼式といわれ、軍艦の礼式としては一番格が高いものだそうです。 本日は視界が悪いため、航空機の観閲が取り止めになりました。
訓練展示のために新しい陣形が整形されたようです
祝砲発射の護衛艦「さわかぜ」「あさかぜ」
観閲が終了後、訓練展示が行われました。 祝砲発射 最初の訓練展示は祝砲発射です。 3隻の護衛艦から各艦4発の祝砲が発射されました。 祝砲発射に使用されるのは、5インチ単装速射砲です。
空砲発射時の音は実弾を発射する時よりも大きいそうです。 祝砲が観閲部隊側に向けられて発射されたために、その音に驚いた人もいたようです。
祝砲発射の護衛艦「あさかぜ」
対潜ロケット弾を発射する護衛艦「ゆうべつ」
対潜ロケット弾の水柱
対潜ロケット弾発射 3隻の護衛艦から各艦4発の対潜ロケット弾が発射されました。 対潜ロケットは潜水艦攻撃用のロケットです。 今回発射されたロケットは実弾だそうで、海面に着弾した後、水中から大きな水しぶきが上がり、見学者からはどよめきの声があがりました。
ヘリコプター発艦 3隻の護衛艦から、搭載中のヘリコプターSH−60Kが一斉に発艦しました。 艦艇に搭載されているヘリコプターは、航行している護衛艦から発艦し、また航行している護衛艦に着艦するわけです。 したがって、動かない陸上から離陸、着陸する場合に比較し相当難しいと言えます。
護衛艦から発艦間近のヘリコプター
無事発艦したヘリコプター
さらに、護衛艦は単に航行しているのみでなく、風や波・うねりの影響によっては、上下に動いたり左右に傾いたりするそうですから、護衛艦への着艦には相当な技量を要求されるといえます。 海上自衛隊では夜間も護衛艦への発着艦が行われるそうです。
飛行中のSH−60Kヘリコプター
艦上のヘリコプター
潜水艦の潜航・浮上 潜水艦が4隻縦列で航行していました。 先頭艦を除く3隻の潜水艦が、ドルフィン運動と呼ばれる潜航・浮上を2回行いました。 浮上するところを前方ないし真横からキャッチしようと試みました。
航行している潜水艦
浮上中の潜水艦(友人撮影)
潜航を開始した潜水艦(友人撮影)
洋上補給 補給艦と護衛艦が航行しながら燃料・物品等を授受するのが洋上補給です。 現在も、テロ対策特別措置法に基づきインド洋に派遣されている海上自衛隊が、この洋上補給の方法で、各国の艦船に対する補給支援活動を行っているそうです。
洋上補給中の輸送艦「ときわ」と護衛艦「はるさめ」
甲板散水&IRデコイ発射の護衛艦「やまゆき」
甲板散水・JRフレアー発射 甲板散水は、汚染された船体を海水で洗浄するためのものです。 また、JRフレアーは赤外線誘導弾ミサイルを回避するために使用されるものです。
ミサイル艇高速航行 沿岸における哨戒、洋上阻止、不審船対処能力を備えたミサイル艇3隻が高速で航行しました。 時速80km以上の速度で航行できるそうです。
高速航行するミサイル艇
高速航行するLCAC
LCAC高速航行 ホバークラフト型の輸送用エアークッション艇2隻が高速で航行しました。 このLCACは戦車を搭載して航行できるそうです。 通常は輸送艦に搭載されており、作戦海域の到着後、母艦から陸上への輸送業務などに従事するそうです。
この他、救難機US−1A飛行艇による海面への離着水、哨戒機P−3CによるIRフレアー発射、哨戒機P−3Cによる対潜爆弾の投下が計画されていましたが、視界不良のため観閲飛行が中止となり、訓練展示も残念ながら見学できませんでした。
救難機US−1飛行艇(観艦式予行)
航行しながら観艦官の訓示を聞く艦艇部隊
訓練展示に引き続き観閲官である安倍内閣総理大臣の訓示がありました。 無線により参加艦艇に流され、風来坊も、艦上で聞くことができました。 帰宅すると夜のニュースでも安倍総理の訓示が放映されていました。
本日乗艦した護衛艦「ちょうかい」は、海上自衛隊が建造した4番目のイージスシステム搭載の護衛艦です。 イージスシステムの中核となるのが、艦橋の側面に取り付けられている多機能レーダーアンテナです。
多機能レーダーアンテナ&高性能20mm機関砲
イージス艦「ちょうかい」
通常のレーダーアンテナは回転して目標を捜索しますが、「ちょうかい」の多機能レーダーアンテナは各素子から発射される電波をコンピューターによってコントロールして目標を捜索するのだそうです。 コンピューターでコントロールすることにより、多数の目標を並行して分析することができるとか????
自衛隊観艦式は3年に1回開催されますが、大変な人気のようで乗艦券をなかなか手に入れることができないようです。 しかし、海上自衛隊のホームページを覗いてみると、今年の自衛隊観艦式は10月29日ですが、その前に3回の予行が行われることになっていました。 そして、観艦式と予行のいずれについても、乗艦券の一般公募が行われていました。
垂直発射装置
相模湾を航行中の護衛艦、右前方は天城山(予行)
観艦式は人気が高く、当日の乗艦券を入手することは極めて困難です。 一方、観艦式に予行が行われていることはあまり知られていないようです。 しかも、予行の場合は観閲部隊のみでなく、受閲部隊にも見学者を乗艦させることから、発行される乗艦券の枚数も多いようです。 平日に行われる予行は希望者も少なく穴場のようです。 極秘情報でした。
風来坊のネットの友人数名が自衛隊観艦式を見学しておられました。 観艦式を見学した日や乗った船が異なっていますので、さまざまな角度から観艦式を楽しんでいただけるではないかと思い紹介致します。 Seawindsさん 自衛隊観艦式 Shadowさん 観艦式 shin9nさん New Diary「平成18年度観艦式」
相模湾を航行中の潜水艦2隻
関連のホームページ 海上自衛隊 風来坊