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雪の兼六園  (H17.1.31)



兼六園の風物詩・雪吊り


園内は雪かきされていません

1月30日〜2月3日、日本列島は今年一番の寒気に覆われ、日本海側や西日本は大雪に見舞われました。

今年一番という寒気の前半に風来坊金沢を訪問しました。1月31日朝の金沢は前日からの寒気の影響で積雪が10cm程度ありました。

兼六園を訪問したところ、「お客さんラッキーです。兼六園は今年初めての積雪です」という声が耳に飛び込んできました。

雪を被った雪吊りを見ることができるという期待に膨らんだ瞬間でした。


兼六園は公園であるため、除雪はしないとのこと。朝早かったため、新雪を踏みしめながら庭園内を散策しました。

雪は断続的に降っているという程度でしたが、時折吹く強風のため、樹木の枝から落ちてくる雪を被りながらの散策でもありました。


園内ではあちこちに雪吊りが


断続的に雪降る中、新雪を踏みしめて


兼六園は、水戸偕楽園、岡山後楽園と並ぶ日本三名園の一つです。

兼六園は江戸時代の代表的な大名庭園として、加賀歴代藩主により、長い歳月をかけて形づくられてきました。

金沢市の中心部に位置しており、四季折々の美しさを楽しめる庭園として、国内のみでなく世界各国の観光客に親しまれています。


兼六園は、「廻遊式」の要素を取り入れながら、様々な時代の庭園手法をも駆使して総合的につくられた庭です。

廻遊式とは、寺の方丈や御殿の書院から見て楽しむ座観式の庭園ではなく、土地の広さを最大に活かして、庭のなかに大きな池を穿ち、築山を築き、御亭(おちん)や茶屋を点在させ、それらに立ち寄りながら全体を遊覧できる庭園です。


曲水には豊富な水が


記念撮影スポットの椅子も雪の中

いくつもの池と、それを結ぶ曲水があり、掘りあげた土で山を築き、多彩な樹木を植栽しているので、「築山・林泉・廻遊式庭園」とも言われています。

何代もの加賀藩主により、長い年月をかけて形づくられてきた兼六園ですが、作庭における基本的な思想は一貫していたようです。

その思想とは神仙思想。大きな池を穿って大海に見立て、そのなかに不老不死の神仙人が住むと言われる島を配します。藩主たちは、長寿と永劫の繁栄を庭園に投影したのです。


庭園の名前は、すぐれた景勝の代名詞である「六勝(ろくしょう)」を兼ね備えているという理由から、12代藩主斉広の時代に奥州白河藩主・松平定信によって、「兼六園」と命名されています。

六勝とは宏大(こうだい)、幽邃(ゆうすい)、人力(じんりょく)、蒼古(そうこ)、水泉(すいせん)、眺望(ちょうぼう)をいいます。


六勝については、最後に説明します。


園内の光景


唐崎松


唐崎松

唐崎松(からさきのまつ)

兼六園の中で最も枝ぶりが見事な松です。

13代藩主・斉泰が琵琶湖湖畔の唐松から種子を取り寄せて実生から育てた黒松です。

雪の重みによる枝折れを防ぐため、冬にほどこされる雪吊りは兼六園ならではの風物詩です。

他の庭園では見られない、趣深い風情を紡ぎだします。

雁行橋(がんこうばし)

11枚の赤戸室石を使って雁が夕空に列をなして飛んでいる姿に作られているので雁行橋と呼ばれています。

また、1枚1枚の石が亀甲の形をしているので、別名を亀甲橋とも言われ、

この橋を渡ると長生きするとされてきましたが、現在は石の磨耗が著しいため、通行できなくなっています。

残念至極!


雁行橋


曲水

曲水

寛永8年(1631年)の寛永の大火の翌年、3代藩主・利常が、金沢城の防火用水を確保するために設置した用水が「辰巳用水」です。

この用水が、後に兼六園の曲水として用いられることとなり、園内に豊富な水の流れをつくっています。

両岸には桜が植えられ、4月の開花時には杜若の若緑とともに美しい景観を楽しむことができるそうです。

根上松(ねあがりまつ)

大小40数本もの根が地上2mにまでせり上がった奇観はたいへんな迫力で、兼六園名物の一つとなっています。

この松は、13代藩主・斉泰
(なりやす)が土を盛り上げて若松を植え、根を深く土で覆い、成長後に土をのぞいて根をあらわにしたものだと伝えられています。


根上松


花見橋

花見橋

擬宝珠(ぎぼうし)の欄干がある木橋です。橋から見る花の眺めがすばらしいことから、この名前がつきました。

花の季節になると、緩やかに流れる曲水に沿って、桜、カキツバタ、サツキ、ツツジなどが咲き誇り、多くの人を魅了します。

夏の緑陰、秋の紅葉、冬の雪景も見逃せないそうです。


霞ヶ池

霞ヶ池

兼六園のほぼ中心部に位置する、園内で最も大きな池です。

面積は約5800平方メートル、深さは最も深いところで1.5mあります。

栄螺山、内橋亭、徽軫灯籠、虹橋、唐崎松、蓬莱島などの名勝がこの霞ヶ池の周辺に配され、廻遊しながら四季折々の庭景を楽しめるよう配慮されています。


霞ヶ池


内橋亭

内橋亭

かつて蓮池庭内にあった四亭の一つで、霞ヶ池の西南岸に設けられた水亭です。

蓮池馬場の馬見所に建てられていたものを、明治7年(1874年)、現在の場所に移築しました。

栄螺山のうっそうとした樹々を背景に、石脚で支えられたこの亭は、まるで水面に浮かんでいるような印象を与えます。

徽軫灯籠(ことじ灯籠)

霞ヶ池の北岸に配された兼六園を代表する景観です。

徽軫灯籠は足が二股になっていて、琴の糸を支える琴柱(ことじ)に似ているのでその名が付いたと言われています。

この灯籠は水面を照らすための雪見灯籠が変化したもので、高さは2.67m。

かたわらのモミジの古木、曲水に架かる虹橋と一体となって優れた風景を醸し出しています。


徽軫灯籠


噴水

噴水

この噴水は霞ヶ池を水源としており、池の水面との高低差による自然の水圧であがっています。

水の高さは約3.5mありますが、霞ヶ池の水位の変化によって変わります。

藩政末期、金沢城内の二ノ丸に水を引くため試作されたものと伝えられています。

日本で最古の噴水であると言われています。

眺望台

六勝の一つ「眺望」を楽しむのに最適な場所です。

白山山系の一部のほか、戸室山、医王山を望むことができ、正面には卯辰山、手前には市街地がつづきます。

また、その向こうには加賀平野が広がり、さらに、河北潟や内灘砂丘、日本海、能登半島なども眺めることができるそうです。



眺望台から金沢市内を望む


眺望台からの展望

六勝について

宋の時代の書物『洛陽名園記(らくようめいえんき)』に、

「庭園では六つのすぐれた景観を兼ね備えることはできない。

広々とした様子(宏大)を表そうとすれば、静寂と奥深さ(幽邃)が少なくなってしまう。

人の手が加わったところ(人力)には、古びた趣(蒼古)が乏しい。

また、滝や池など(水泉)を多くすれば、遠くを眺めることができない」


そして、「この六つの景観が共存しているのは湖園(こえん)だけだ」と結ばれています。

兼六園はこの湖園と同様に、六勝(宏大、幽邃、人力、蒼古、水泉、眺望)を備えているというわけです。



 関連するホームページ

     兼六園



              風来坊


雪吊り

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